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第21回「経営者.マガジン読者の集い」 SUNTORY中国代表 齋藤和弘氏様 ご講演(前篇) (読む時間:約6分半) 2015.02.16

去る2月5日に第21回「経営者.マガジン読者の集い」が開催されました。今回は本誌1月号に登場された多彩なゲスト、読者である企業の代表者たちにご参加いただきました。 第一部ではSUNTORY中国代表の齋藤和弘氏にご講演いただきました。講演の一部をご紹介します。

 

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私はこれまでにSUNTORYで、マーケティング、商品開発、チャネル開発、宣伝を30年やってきました。今日は私がこれまでに気がついたことを皆さんにお話ししたいと思います。

 

●ヒット商品に法則はない

 
 まず私の経験から言いますと、ヒット商品に法則はあるわけはないと思っています。有名な行動経済学のダン・アリエリーも「人間は決して合理的な行動をするとは限らない」と言っておりますが、商品の購買行動も直感的に好き嫌いで選んでいることが大半なのです。

 
しかし、当社で言えば缶コーヒーBOSSや伊右衛門のように1つの商品で2,000億円を越えるような大ヒット商品には共通項があるんです。

  
それは、発売すると決まった時に社内の営業や流通のお得意様が猛反対するということです。猛反対された商品のみが大ヒットする。これまで一つも例外はありません。

 
例えば、SUNTORY烏龍茶は「甘くないお茶を誰が買うんだ!」
缶コーヒーBOSSは「青いコーヒーなんてインクでも入っているのか?」
CCレモンは「黄色がどぎつい、薬みたいだ!」
なっちゃんは「夏みかんでも入っているのか」
DAKARAは「小便小僧をCMで使うなんてありえないだろ!」
伊右衛門は「名前がお位牌みたい!」

 
しかし、SUNTORYグループ2兆5千億円のうち1兆3,000億円は飲料事業ですが、そのうちの大半をこの飲料たちが占めているのです。このことからお客様と我々業界内部の人間の感覚はズレていると言えます。そこで消費者調査が重要になってきます。インタビューして消費者たちの言葉を拾ってヒントをいただくのですが、お客様にどれだけ本心を語っていただけるか、これは極めて難しいことです。 例えば伊右衛門の商品開発インタビューにおいては、「お茶を飲んだらどんな気持ちになりますか?」と聞いてしまったら「ホッとしますね」と返答が返ってくるだけです。

 
そこで、「お茶を動物に例えたらどうなりますか?」
「お茶を飲んだ時に一番会いたくなるのは誰ですか?」
こんな質問までしていかないと本音なんて出てこないんです。

 
 調査会社でまとめてもらおうとすると、クライアントの移行に沿ってまとめようとするのでSUNTORYでは必ず自社で調査をするようにしています。

 
●缶コーヒーBOSS

 
BOSSの色は何故青いのか皆さんご存知ですか。実はタバコの「PEACE」の色を意識しています。当時缶コーヒーを飲む人のほとんどがタバコを吸います。どういうタイミングでタバコを吸うかを調べてみたらきつい労働の合間なんですね、もうひと頑張りというタイミングです。そこで缶コーヒーとは一体何なのかをよく考えて調査してみました。それは「大の男が男らしく飲めるママの味」なんですね。ミルクと砂糖とコーヒーでホッとして癒やされたいんです。そこでBOSSは「働く男の相棒缶コーヒー」というコンセプトにしました。相棒としていつも隣にいても邪魔にならないデザインにしました。

 
●なっちゃん

 
なっちゃんは夏休みの意味なんですね。夏休みで実家に帰って、何気なく出てきたオレンジジュースを飲んだら美味しかったという、こんな感覚でネーミングがつきました。この感覚、お客様には伝わるんですが、なかなか社内には伝わらないんです。

 
●一番社内で反対している人を説得する

  
こんな時にどうやって突破するのかというと一番社内で反対している人を説得するということなんです。DAKARAでは小便小僧をCMに使うなんて、 企業としての品格を落とすと反対されましたが、最後は「勝手にせい!」と言われ、勝手にしたら売れました(笑)売れたら何も言わなくなりました(笑)

 
●違和感を感じる商品

  
なんでそんなに反対されるのかというとこれまでの商品と違って違和感があるからなんです。違和感があるとバイヤーはその商品を仕入れた理由などを説明しないといけません。ですが、人に説明するときに違和感があるから説明しにくいんです。でも違和感のないものは普通のものなんです。それを我々は言語化するためにお手伝いしていく作業が必要です。サポートを一生懸命していかないとなかなかヒット商品は生まれないんです。 商品化に携わる方々にお伝えしたいのですが、もし上司に「こんなもん売れるか!」と言われたら実はチャンスなんです。ぜひ粘って頑張ってもらいたいです。 そんな簡単にヒット商品は出ないです。やはりみんな苦労しています。七転八倒して、眠れない夜を繰り返した人しか絶対に成功はないと思います。

 
●失敗した人を変えない

 
私の方針として失敗した人を変えないようにしています。会社によっては「あいつは失敗癖がついている」「失敗したら猛烈に反省してもらわないと困る」と責めてしまいます。当然宣伝までやって失敗したら会社は大損しますが、ただそれで失敗した人を責めていたら誰も新商品なんて作らなくなるし、当たり外れを経験することができません。一番苦しんでいるのは当の本人です。どこがダメだったのかを勘所を掴むには最低でも2、3年かかるんです。失敗した人にしか、成功はできません。やってみないとわからないので、やらせてみるということになります。「やってみなはれ」ですね。私は部下がちゃんとしたデータで100%否定できないものを持ってきたら、商品を出すようにしています。上司が判断するものではないのです。マーケットに近い人間が確信を持てたら通すようにしています。

 
●ヒット商品は競合と競合しない

 
このような新しい価値をもったヒット商品が出たときには実は競合と競合しないんですね。サブカテゴリーができるんです。例えば「伊右衛門」ができて売れたからっといって、「お~いお茶」が減ったかというと減ってません。BOSSの後にGEORGIAが出たからといってBOSSが減ることもありません。それなりのブランドができて価値が認められたら、カテゴリーが大きくなるんです。そうするとよくある似たもの同士の値引き合戦という不毛な競争を避けられる。しっかりとブランディングをする時間があるということが重要ではないかと思っています。したがって、いいヒット商品というのはカテゴリー価値を高くし、不毛な競争を避けられるようになります。

 
●いつ安定したブランドになるのか?

 
自分の経験からいうと20年はかかると思います。しかもかなりの確信をもって投資・コミュニケーションをやり続ける必要があります。逆に20年続いたブランドはへたりません。子供の頃から冷蔵庫にいるブランドというのは非常に大きい。そこまで持っていく一番最初のところにブランドの「三感」というものがあります。「共感、親近感、安心感」です。安心感まで行くと勝ちですね。それは愛する奥さんだったり、空気だったり、水だったりします。あって当然の商品でそれがあるのは当たり前だといいうことで安心感まで持っていくのが最後の目的なんですが、これを人に例えると、共感(あの人ちょっといい人とかもしれない)、親近感(やぱりいい人だよね)、安心感(この人に出逢えてよかった)。こんな態度に変容するまでに、私は20年はかかると思っています。

 
●お客様の身になった宣伝を 

 
 一番最初に共感を取るのが宣伝の仕事になります。宣伝はラブレターと言われていることもあって、「自分がこんなに優れている」というところを伝えることが多いのですが、自分の自慢話をテレビの画面から投げつけられて好きになれますか?宣伝は自分の自慢話をどううまく相手に伝えるかが重要なんです。ラブレターに例えるなら相手が気に入るような便箋で、相手が気に入る書き方で、相手が気に入る届け方でないと受けてもらえないんです。宣伝で賞を取ったものというのは必ずお客様の記憶の中にずっと残っています。宣伝とはブランドそのもので、お客様の中には商品と一体化しています。宣伝の行為とは販売の行為と一緒です。お客様の身になって宣伝しないといけないということが、マーケティングでは非常に重要なんです。

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