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2015稲盛和夫経営哲学上海報告会

3千人の中国人経営者が息を呑んだ講演!稲盛和夫氏「なぜ企業は高収益でなければならないのか」

    • 京セラ、KDDIの創業、JALの再建に力を尽くし、多くの経営者から手本とすべき存在として慕われる稲盛和夫氏。その稲盛氏が5月16日、上海で行われた盛和塾の中国大会に登場し、講演を行った。この大会は年に1回、今年で7回目となる。今回のテーマは「なぜ企業は高収益でなければならないのか」、その概略をここにご紹介する。

       

      転換期の中国で生き抜くためには高収益であることが必要

       

      「なぜ企業は高収益でなければならないのか」、今回このテーマを取り上げた理由を稲盛氏は次のように解説する。

       
      かつて、日本の高度成長期には新興企業が次々に勃興したが、売上規模だけを追求し、収益性を確保できなかった企業の多くは、やがて経済変動の波に飲まれて消えていった。高度経済成長から安定成長への転換期にあると言われる中国においても、波に飲まれず、継続的に企業が発展していくためには十分な利益を確保することが必要となる。

       

      そこで今回は「なぜ企業は高収益でなければならないのか」をテーマとして、「高収益企業を目指すに至った原点」、「なぜ高収益でならなければならないのか」、「高収益とはどの程2015稲盛和夫経営哲学上海報告会レポート 稲盛和夫氏講演なぜ企業は高収益でなければならないのか度の利益率なのか」の3点を紹介することで企業経営の参考として欲しいというのが、稲盛氏の意図である。

       

      京セラ設立秘話

       

      京セラは1959年4月1日に創業した。そのとき稲盛氏は27歳、手元には1万5千円の資金しかなく、共同事業者も同じような状況だった。そこで宮木電機社長の宮木男也氏、専務の西枝一江氏を始めとする人々から技術出資という名目で3百万円を出資してもらった。しかし業務を始める為に不可欠な設備を整えるためには3百万円ではとても足りない。そこで西枝氏が自宅を抵当に入れて1千万円を銀行から工面した。ここに至り、ようやく京セラは開業することができるようになった。

       

      稲盛氏の家庭は小さな印刷工場を営んでいたが、父は借金に恐怖心を抱いていたし、稲盛氏もまたそのような気持ちを受け継いでいた。なのに今、このように巨額の借金を背負うことになってしまった。しかも、もし事業が失敗すれば西枝氏の家までなくなってしまうのだ。それを恐れた稲盛氏は懸命に働き、初年度に2千6百万円の売上と3百万円の利益を上げることができた。利益率は11.5%と高いものであった。

       

      借金を返すため、高収益を目指す

       

      この3百万円をすべて借金の返済に充てれば、すぐに借金が返せると思った稲盛氏だが、現実は違った。3百万円のうち約半分は税金として納め、50万円は配当としなければならず、実際に返済に充てられるのは百万円ほどしかない。設備投資をするとなれば、それさえおぼつかない。

       

      焦る稲盛氏に西枝氏はこう諭した。「借りた金は必ず返すというのは良い技術者かもしれないが、それでは良い経営者にはなれない。高収益の事業ならば、どんどん融資してもらえるからそれで事業を拡大していくのが事業家だ。利息さえ払えば、元金はあわてて返す必要はない」 だが、稲盛氏は借金への恐怖心から借金を早く返すことばかりを考えていた。もし10%の利益率で借金をほとんど返すことができないのならば、利益率を20%に高めればいいのではないだろうか。そう考えたことが京セラが高収益を実現することができるようになったことの原点である。

       

      中国でも企業の法人税は25%と大きく、それを支払うのが惜しいと思う経営者は多いことだろう。だが、税金を支払いたくないがために設備投資をしたり、交際費を増やしたり、従業員に臨時ボーナスを出したりして利益率を低くしようとすれば、低収益を目指すようになってしまう。そうではなく、ただひたすら借金を返すために高収益にしなければならないと考えたことが、京セラが高収益企業となったことの切っ掛けだったのだ。

    2015.06.19

    激変の中国「新常態と稲盛哲学」〜2015稲盛和夫経営哲学上海報告会レポート〜

    • 中国人経営者3千人が詰めかける異空間

       

      会場の位置する上海・浦東新区の一角には一度に数千人を収容できる大箱の会場が立ち並ぶ。ここは2010年に上海EXPOが開催されるにあたって整備された土地であり、その 様子は東京の臨海地区を連想させる。

       

      その会場の一つが「経営の神様」稲盛和夫氏の大きな顔で壁一面を覆い尽くされている。公安も出動する厳戒態勢のなか、多くの警備員が周囲に配置された「稲盛和夫経営哲学上海報告会」会場はどこか異質な雰囲気を醸し出していた。

       

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      「稲盛和夫経営哲学報告会」とは、稲盛和夫氏を塾長として稲盛氏の「人生哲学」並びに「経営哲学」を学ぶことを目的とした私塾・盛和塾の活動報告会だ。盛和塾はここ中国でも 2007年に無錫支部が開塾して以来、北京・上海・杭州・広東・山東・重慶・西安など、合計19の地区あるいは都市に支部を持つ。

       

      報告会当日の朝、会場入り口は多くの人で埋め尽くされた。今回の報告会に参加する各中国支部の塾生は約3千人、そのいずれもが改革開放後の時流に乗り、一代で財を成した創業者、あるいは大企業の役員クラスである。それがみな案内に従い会場前にきれいに列を作っていた。

       

      2日にわたって開催されたこの報告会は、代表塾生による日ごろの学びと実践の発表と、塾長・稲盛和夫氏による講演によって構成される。第1日目の夜に催される懇親会からは稲盛和夫氏と250人の日本の塾生が合流し、第2日目にはいよいよ稲盛氏本人による講演が行われた。

       

      中国での驚異的な稲盛人気

       

      現在、中国で一番有名な日本人経営者はおそらく稲盛氏なのではないだろうか。著書は次々に中国語訳され、飛ぶように売れていき、訪中するたびに報道陣がその一挙手一投足に注目している。

       

      昨年、稲盛氏が経営哲学報告会のために杭州に足を運んだ際には、現地に本社を構える中国EC最大手、アリババのCEOジャック・マー(馬雲)氏との対談が実現し話題を呼んだ。ジャック・マー氏も兼ねてから尊敬する経営者として稲盛氏の名を挙げており、ここからも稲盛氏の人気が中国において相当浸透していることが窺い知れる。
      今年の旧正月には中国の国営テレビCCTVにより、稲盛氏の半生を追ったドキュメンタリーが制作・放送され、反響を呼んだ。この番組では稲盛氏を「経営の神様」とし、その言葉を「預言」としていた。これにより、いよいよその人気は現地のビジネス誌に取り上げられるまでになった。

       

      筆者は実際に稲盛和夫経営哲学報告会を取材し、その驚異的な人気ぶりを目の当たりにして驚かされた。塾生が稲盛氏の哲学に心酔し、稲盛氏の言葉を一句も逃すまいと皆が耳を澄ます様子は壮観であった。

       

      そこには一部の紙上で取り沙汰されたような宗教性はなく、むしろ偉大な学者と教えを乞う学徒の間で巨大なエネルギーを発生させる「白熱教室」といった感があった。その様子を思わず孔子とその高弟たちに重ね合わせてしまったのは、稲盛哲学がその由来の一つを中国古代哲学に持つからであろうか。

    2015.06.03
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