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朱實先生と瞿麦さん 【上海の街角で 井上邦久】vol1 (読む時間:約2分半) 2014.08.04

司馬遼太郎「街道をゆく」シリーズの25巻目『中国・閩のみち』は1984年8月から12月に週刊朝日に連載されました。単行本や何度か装丁を変えた朝日文庫により読者を拡げ続けているようです。
閩の国、福建省へ陳舜臣らの友人と訪れた司馬氏は、旅の初めに上海虹橋空港に到着しました。一行は空港近くの龍柏飯店に投宿、町見物をせずホテルに残った司馬氏と案内役の瞿麦さんとの味わい深い会話が冒頭にさらりと描かれています。1975年以来の親しい付き合いの二人の会話は瞿麦さんの「呼吸をするように話す」と描写された上等な日本語で成り立っています。そして瞿麦さんから「人民解放軍」という言葉の福建語読みは北京語発音より、日本語の音読みにずっと近いということを教わり、更には瞿麦さんから「本来は福建人です」という言葉を引き出しています。


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1980年代の北京、日本企業のオアシス的存在であった新僑飯店に当社もサロンと言えば聞こえは良いのですが、実際は出張者の溜まり場のような部屋がありました。その一角の本棚から抜き出した単行本で「閩のみち」を読んだ記憶があります。内容のあらかたは忘れましたが龍柏飯店での瞿麦さんとのエピソードは印象に残り続けていました。


上海短歌会へのお誘いを受けて何度か末席を汚しています。その会の中心的存在の朱實先生をご存知の方は多いことと思います。日中国交正常化交渉の折に田中角栄首相と周恩来首相の通訳を果たし、その後多くの日本語人材を育てたことは良く知られています。ただ戦中戦後の台湾で文学結社「銀鈴会」の中心メンバーとして活躍されていたことはあまり語られていません。


その朱實先生からの電話でお誘いがあり、10月12日、先生から指定された康定路のポルトガル料理屋でお会いすることができました。社宅近くの長年懇意にしている小譚花店で花束を包んでもらおうとしたら、偉い先生を訪ねるならと譚老板は立派な胡蝶蘭の鉢を持たせてくれました。朱實先生は9月30日の誕生日の祝いとして蘭の花をとても愛でてくれました。事前に台湾文学、文学史を研究している友人や後輩から教わった参考資料の中に、前述の『閩のみち』が挙げられていました。それで、先生には幾つかのペンネームや号があるでしょうが、一番のお好みは?と訊ねると「瞿麦です」、と即答されました。朱實先生と瞿麦さんが重なった瞬間、感動が走りました。先生が好まれる瞿秋白の「瞿」と台湾で参加されていた「麦浪会」合唱団の「麦」を繋いだ思い入れの深いお名前でありました。台湾での青春、1949年台湾からの命懸けの脱出、そして同年9月30日の天津上陸直後の英雄としての扱いまでを熱く語られ、それから1972年の日本との国交正常化交渉への参画までの日々についてはさらりと話されました。次回は共通の研究テーマである瞿秋白について、ポートワインを傾けながらお聴きしたいと思っています。上海の街で、歴史の経糸と横糸が交差するなか、人を敬うことを信条として明るく生きて来られた先生との贅沢な巡り合いに感謝しています。


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