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城隍廟 【上海の街角で 井上邦久】vol16 (読む時間:約4分半) 2016.02.24


2月22日(月)は「ニャンニャン猫の日」らしいのですが、当然これは日本固有のことで、今年の上海では陰暦(農暦)1月15日の元宵節。あいにくの雨で満月を眺めることは難しく楽しみに水を注されましたが、酒を注ぎ合った方は多かったことでしょう。元宵節は春節最後のお愉しみで、その日は仕事も早々に切り上げて、家族や友人が丸テーブルを囲んで会食する大団円の日。そして翌日からは春節気分は一掃されて・・・。
そんな元宵節の午後に会議を催したり、客先に訪問アポイントを申し入れたりするのは野暮の骨頂として嫌われるので気をつけています。
野暮と言えば「爆竹禁止、違反者は処分する」と大書された紅い幕が至る処に掲げられていました。この野暮なお達しについて、ある女性弁護士が「上海市民がこれほど従順に爆竹禁止規則を守ったことにビックリ!」と法曹界の人士らしからぬ本音を語ってくれたことも、愉しい春節の思い出のひとこまになりました。


年の瀬の雰囲気が濃くなった頃、春節を区切りに上海での仕事や生活から離れる人の流れが始まりました。駐在任期満了の帰国者、受験を機に帰国する子弟たち、そして上海から別の国や地域へ異動する管理職・・・その中には、惜別の念は黙し難く、とまでは成らずとも何らかの形で惜別の宴をしたい方がいます。しかし、思いはあっても実際は異動や移動前の時間は貴重であり、よほどの事前準備をしなければ面談も難しく、ましてや昼食・夕食の枠はキャンセル待ちとなります。戦前、財閥系商社支店長の帰任に際しては、大きな料亭を三日三晩貸し切って宴を催したことを、陳祖恩教授が著した上海の日中交流史で読んだことがあります。


「城隍廟での朝食をお別れの宴にしたいのですが・・・」失礼をかえりみず申し入れたところ、「朝ならOK。場所も便利」との嬉しい回答があり、「南翔饅頭店、小籠包の店の三階でどうですか?」にも「三階、いいですね」という老上海、上海通らしい遣り取りがありました。
池の傍らのその店の1階はテイクアウトの長蛇の列で有名。2階は早朝から開いていて、食券方式で相席は当たり前、混み合うと順番待ちは階段を経て1階まで伸びることもしばしばです。その点、3階は小ぎれいな布も掛かった卓で注文ができます。小籠包の種類も豊富で、各種小菜もあります。欠点は開店が8時45分からであることくらいです。値段体系は1階や2階より高いのは当たり前ですが、3階の奥にあるVIP個室(最低消費金額が、以前は150元/一人でした)よりずっと庶民的です。


その朝は9時前に席に就き、豚肉と蟹肉入りの小籠包をそれぞれ1籠、野菜炒めや醤油大根など上海小菜をつまみに紹興酒5年物を1本だけ呑みました。
観光客も居ない朝の席は家族連れや友達同士がまばらに座っているだけで、実に話しやすい環境でした。お互いの現在、過去、未来の話が行ったり返ったりしながら、小腹も満たされました。
酒も控えめであったので、足元もしっかりと1階に下りました。猿の張りぼてが目立つ大灯篭も朝では精彩を欠いていました。城隍廟の門票売場で一人10元の「香花券」を買い中に入ると、そこは香炉を置いた広場、信心深い老若男女の世界です。捧げられた線香からの煙を頭にあてる人、紙銭を惜しげもなく燃やす人、そして広場を囲むようにして祈福堂、財神殿、慈航殿、道縁軒などがあり、一つ一つお参りする人も居ます。方浜中路出口側を見上げると牌楼と戯台があります。数年前に静安区の高層ビル火災で多くの犠牲者が出た時、戯台で道士が鎮魂の舞をしていたのを思い出します。土地の氏神、鎮守を司る者として慙愧に耐えないというような文字も掲げられていたような記憶があります。
最も大きな司馬霍光を祭る霍光殿には大小さまざまな像が鎮座し、鐘や太鼓なども下げられています。通路のような甲子殿の両側には十二支の守護神が飾られ、参拝者は自らの干支像に捧げ物やお布施を届けます。そして最も奥まった処に城隍殿があります。神壇には元末明初の秦裕伯(1295?-1373年)が祀られています。汚職とは無縁の清官、善政の人だったのか?産業を発展させて金持ちを増やした人なのか?よく知りません。調査は北京中央にお任せします。


城隍殿で明代に創られた神に、一年のご加護の感謝をしました。上海から離任する友人は十年近い生活が息災であったことへの御礼をしたと話していました。
元々は甲子殿の横に素麵館と茶館がありました。素麵は休日8元(平日5元)で、タップリの精進野菜が盛られ、それなりに美味しく、午後には売り切れになることがありました(以前、邦銀幹部の方が売切れに遭遇し、発奮して翌週再挑戦して一碗の8元の麵を食したという懐かしい話も思い出しました)。茶館は50元からで、中国茶道の伝統的なもてなしを延々としてくれます。最近、素麵館は場所を牌楼の東に移し、ずいぶんと綺麗になりました。原則は8時半からの営業で一律8元(縁日は5元?)、売切れなしとのこと。
しかし、その朝は原則外れで開店休業で残念ながら食べそこねました。友人には、是非とも再度上海で素麵をご一緒したいものだと道教道士ともども念じております。一碗の素麵のために遠路を厭わずやってくる老上海が居れば鎮守様も喜ぶことと思いますので。 (了)


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