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花屋の譚さん 【上海の街角で 井上邦久】vol3 (読む時間:約2分半) 2015.01.16


 ベランダの鉢植えの草木も三年目の春を迎え緑の色を濃くしています。今年も沈丁花は香り、桃は白い花を咲かせました。三連休の初日の夕方、食材や本を買った帰りに寄った隣の花屋。譚老板(ラオパン=大将)から、もうすぐ母の日だからとカーネーション、それともお前さんの趣味の料理には要るだろうとハーブ、今日はどちらにすると聞かれ、結局両方の小鉢を持たされました。無理に金を出すと水臭いと言われるので、いつものようにシレッと頂戴しました。昨年3月まで、次男坊誕生で喜ぶ彼の要請で、ご指定の明治粉ミルクを、日本から何度もハンドキャリーしたことから、時間差・物々交換の習慣が定着しました。震災までは日本製のミルクで育った譚ジュニアは元気に歩き回っています。


上海たより(2012年5月)『上海の五月』に綴った後も譚さん一家との交流は深まっています。父親似の次男坊は腕白に育ち店前で走り回っています。それを優しい眼で眺める長男は物静かに店の手伝い仕事を探しています。  或る夕方、仕事帰りを目ざとく見つけた譚さんは「餃子は好きか?食べていけ」と声を掛けてくれました。店の隅で餃子の皮に豚肉と韮の餡を上手に詰めていた奥さんが「旦那はいつも突然誘うから面子がなくて・・・今夜は餃子しかないけど、明日だったらもっと腕を揮うよ」と少し含羞の表情を浮かべました。「奥さんの料理自慢は知っている。それにニンニクを入れない御宅の餃子が好きだ」という会話の端緒が長男の教育の話に繋がりました。「高校進学も近い。成績はまずまずだけど内向的なのが残念。安徽省の実家は出身が悪くて、出身って分かるかな?」「出身階級のことだよね」「そう、家は地主だったので革命後に父親たちは随分苦労をした。だからついつい私も教育に熱くなってしまう。」と餃子作りの手は休めずポツリポツリと語ってくれました。


 酒も煙草もやらず、朝の7時半から夜まで働く譚さんは研究熱心でもあります。パソコンなどで日本の園芸情報を仕入れては門外漢相手に相談してきます。或る年末に門松作りを頼んだら、実に見事な仕上がりで、オフィスの入り口に春節明けまで飾りました。植木鋏も日本製に限るとの所望で各タイプを届けました。次は何かと思ったら「腰に巻くホルダー」とのこと。帰国時に東急ハンズなどで探しました。最終的に旅先の長野駅前で、無印良品の店員が腰に巻き小道具を挿しているのを見つけ、これだ!と、倉庫から同じ品を取り出して貰いました。


 ただ努力と結果が必ずしも伴わないのはどの商売でも同じです。「日本人が花束をどっさり買いこんでカラオケに通った時代は戻らないのか?」と恨めしそうに呟いてから「二次会が苦手な自炊派のお前さんには没有関係だった」と笑ったのも数年前。最近は「贅沢禁止のお達しのせいか大口納品が激減した」と嘆く反面、店の造りを個人客用に切り替える工夫を始めました。


 駐在員には会社は有っても社会が無い、と以前の北京や青島での生活で残念に思っていました。今回の上海では社会との繋がりを感じる生活のゆとりが出来たかもしれません。春節が近いことでもあり、次の休みには譚家の安徽省風味の餃子を食べさせて貰いましょう。(了)


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