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猶太人 【上海の街角で 井上邦久】vol35 (読む時間:約4分) 2017.09.23

ボストン郊外にも杉原千畝の顕彰碑があるようだと、茨木市土曜クラブの友人から以下のサイトの連絡(探索指示?)がありました。


http://hinode.8718.jp/japanese_sugihara_tiune_monument.html


土曜クラブの8月例会はクラブ会員のF氏が「ユダヤ」について話されることを思い出し、例会に出席できない代わりに顕彰碑を探してみようと動き出しました。居候先の最寄り駅からグリーンラインCという路面電車で終点まで行けば、チェスナットヒル地区だから何とか分かるだろうと、いつものように五感頼みの横着(スマホも機能不全)。電車を降りて一寸迷った後、バス乗り場で学生風の男女にユダヤ教EMTH教会への行き方を訊ねました。幸運なことに男子学生から「15分待てば来る51番のバス。僕たちも教会前の同じ停留所で降りる」と言われました。バスはかなりの速度で20分ほど走った頃に、女子学生の手前からかとても親切な男子学生に声を掛けられ目的地に無事到着。日本風の灯篭が並ぶ一角に顕彰碑が整備されていました。折しもボストンでは、反ナチズム、反白人至上主義の大規模な行動がありましたが此処に限らずユダヤ教会の周辺は静かでした。


或る日、最寄り駅近くの食堂でブランチを摂っていたら、隣の席に座った初老の紳士が話しかけてきました。CHALPINと名乗り、医学の研究者であり、苗字を聴けば分かる通りロシア系ユダヤ人で1800年代に一族はこの町に移り住み、長くユダヤ人だけの集落で住んでいた、と問わず語りが続きました。苗字を聴いてもユダヤ人と推測できるはずもない東洋人に、何故に自分からユダヤ人と言い出すのかなと訝しく感じました。そして上海へ貴州省から出稼ぎにきた青年が、此方から聴きもしないのに「私は苗族です」と照葉樹林帯地域に住む少数民族の名前を口にしたことを思い出しました。なお、CHALPIN氏の方は隣席の東洋人の苗字を聴いて、「DANIEL INOUYE!」、「日本人!」と喜びました。著名な日系議員の一族に会ったと夢想したかったかも知れません。


留守宅に土曜クラブでの講演に使われた沢山のユダヤ関連資料を届けて貰いました。その中に、「もう一人 日本のシンドラー」と題する日経新聞記事(1997年4月16日文化欄)のコピーがありました。筆者であるジョン・ステシンガー教授は1941年3月、13歳の時、シベリア鉄道による逃避行中、ドイツ大使館から帰任途中の真鍋良一氏(元東海大学教授)に親切にしてもらった。何とか上海に定住したものの、ドイツからの圧力もあったのか、日本統治者はユダヤ人難民をゲットー(隔離地域)に強制収容した。上海領事として赴任していた真鍋氏に頼ったところ在留延期証明書を毎年発給して貰えてゲットー収容を回避できた。更に真鍋氏は上海交響楽団のユダヤ人メンバーにも演奏が続けられるように手配してくれた。敗戦後ステシンガー青年はハーバード大学に留学してキッシンジャーやブレジンスキーと机を並べ、国際関係論の学者になったが、真鍋氏は漢口領事として中国人捕虜への虐待を止められなかった罪で巣鴨プリズンへ、その後も外交官に戻ることはなかった由。


上海虹口の猶太記念館に、欧州でユダヤ人難民にビザを発給した中華民国の何鳳山や杉原千畝についての顕彰展示がありましたが、真鍋良一の名前を見かけた記憶はありません。


NHK・Eテレのテキストがベストセラーとなっています。九月の「100分de名著」(毎月曜日午後10:25~10:50)の『ハンナ・アーレント 全体主義の起原』のテキストとして仲正昌樹金沢大学教授が書き下ろした文章はとても簡潔です。裕福なドイツ系ユダヤ人の家に生まれて、ハイデッカーやヤスパースに師事したハンナ・アーレントの半生の闘いを描いた映画が上映された数年前、一種のブームがおこり本連載でも綴りました。


http://www.shanghai-leaders.com/column/life-and-culture/inoue/inoue010/


しかし今回表紙に「考えることをやめるとき凡庸な『悪』に囚われる」と書かれたテキストが売れ、アーレントの著作が平積み販売されているのは映画化された時の知的ブームとは異なるような気がします。 ・・・人々の間に国家への不信、寄る辺ない不安が広がっているのは今の時代も同じではないでしょうか。政情不安、終わりの見えない紛争、そして難民問題。世界はどこへ向かおうとしているのか、それを動かす社会の仕組みがどうなっているのかということについて、多くの人が「教科書的でない」説明を求めています。 日本も例外ではありません。今世紀に入った頃から、政治について関心があり、「かなり分かっている」つもりの人たちでさえ展開が読めないことが多くなり、言い知れぬ不安を感じる人が増えている気がします。・・・  (上記テキスト7頁)


悲観でも楽観でもない仲正教授の文章のサワリです。


(了)


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