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米国から中国へ 【上海の街角で 井上邦久】vol37 (読む時間:約3分半) 2017.11.06

ボストンからキングストン経由でプリマスまで、一日に数本だけ運行している郊外列車で行きました。まばらな乗客、小一時間で着いたプリマス駅は無人駅でした。1620年、メイフラワー号に乗った102人の「巡礼始祖」が上陸したプリマスはバージニアとともに北米植民の出発点とされ、聖地化されていると想像していましたが、海を前にした寂しい終着駅にはバスも案内所もありません。一台だけのタクシーを何とか捕まえ、「電車でプリマス観光?」と呆れ顔のドライバーの言うままに、野外博物館に連れて行ってもらいました。開拓時代の小屋や機織り場を再現した一種のテーマパークで、インディアンが歌い、農作業のフリをしているのを妙に痛々しく感じました。感謝祭は原住民と移住者との「友好協力」への感謝とも言われますが、今もなお一部の原住民は、感謝祭の当日を虐殺された先祖を追悼する「全米哀悼の日」としています。帰りの電車まで一時間余り、海を見ながら金子みすずの「浜はまつりのようだけど、海のなかでは何万のいわしのとむらい」と続く『大漁』という詩を思い出していました。


ボストンが建設されたのは1630年、徳川幕府の創成期に当ります。それから1853年の黒船浦賀来航までの200年余りの出来事を、米中関係の研究や講演を続けている横浜在住の友人松本健三氏に学びました。松本氏は上海時代から、各地域の歴史や産業に横串を刺し、比較分析する手法を得意としています。


別添の松本氏作成の米国中国関係年表にある通り、1776年の米国独立宣言から8年後に、早くも中国広州へ交易船を派遣していることに驚かされます。それに続く宣教師派遣、アヘン戦争中立対応、望厦条約(米国有利の不平等通商条約)、西漸政策(カリフォルニア併合)、捕鯨拡大などを背景にして、北東部の貿易・捕鯨業者らを支持層とするホイッグ党が勢力を得て、日本に開国を促す為のペリー艦隊の派遣に繋がります。


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アマーストの閨秀詩人、エミリー・デッキンソンを描いた映画『静かなる情熱』には、主人公が自宅で「スプリングフィールド・リパブリカン」紙などの新聞を読むシーンが出てきす。記事をテーマにして家族で白熱した議論をする場面も印象的でした。鵜野ひろ子神戸女学院大学教授が『現代詩手帖』8月号に書かれた文章によれば、15歳のエミリー・デッキンソンはボストンで開催された「CHINESE MUSEUM」(1844年マカオでの通商条約会議に同行した人が持ち帰った文物を展示した「中国展」)の見学を通じて東洋への眼を開いています。次に新聞で日本の鎖国制度、難破した捕鯨船員の日本での処遇などについても読み、マサチューセッツ州議会議員、国会議員であった父親経由で、日本の団扇などの文物や植物標本を入手しているようです。ペリー提督の通訳官を務めた宣教師サミュエル・ウィリアムズが採集した日本の植物も、父親は娘の為に入手して温室まで敷地内に造ったとのこと。エミリー・ディキンソンは他国の方針を無視する米国の外交政策に違和感を覚えていたとされ、温室は父の属する党の政策に批判的な娘への懐柔策ではないかとされています。今も昔も、父親は娘に「従順」でありますから鵜野教授の分析に同意します。夏のデッキンソン邸宅の広い庭の一隅に、もしかすると日本由来の植物が生えていたのかも知れません。


米国から帰国後、術後検査や出講準備を進める中で、台風以外にも衆議院議員選挙や中国共産党大会などで新聞も騒々しいことでした。その中で、正に台風の眼とも言える北京に長く住んでいるCW(China Watcher)がいます。日本各紙よりも早く、正確で、彫りの深い発信を得意とするCW氏との連携が復活したので、幅広い観点から動きを眺めることができました。中国の人事動静について、毎日や読売が大胆な予測記事を出して外れ、日経と朝日は市井の中国通の話を聴くような無難な記事を続けた結果、他紙のような恥を掻かなくて済みました。全体として三国志演義のような人的抗争や属人分析を好んできた日本の読者も、一方では対中国無関心派が増え、もう一方では人事だけからの判断の域を脱して高度化してきたのではないかと思います。その観点から、産経新聞の記事に円熟味を感じました。そして従来なら「香港情報」が珍重され、スクープや内幕物の情報源となっていましたが、近年「香港の大陸化」により、寸鉄は研ぎ澄まされず、雨傘でささやかな抵抗している状態のため、斬新な「香港情報」が減っているようで残念です。


(了)


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