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開花宣言 【上海の街角で 井上邦久】vol18 (読む時間:約4分) 2016.04.15


今年の花見はかなり長く楽しめています。すでに東京では葉桜になっていますが、東北から北海道はこれからが本番。花と酒に生きる津軽の友人からは、「戦闘態勢に入らんとす」というたよりが届き、句会の最中でもあったので、即興で拙句をひねりました。
    花待てず戦闘モードの津軽衆  シャンパンの栓を抜くよな北の春


「開花宣言」といい、「桜前線」という言葉そのものに情緒抒情を感じるのが日本の春。 その春の初めに上海から、台北から同時期に友人がやって来て、楽しい値千金の一刻を過ごしました。東京で開花宣言がなされた直後の大阪で、京都大学名誉教授の芝池義一氏の古希祝賀、退官、出版記念を合わせた宴が催されました。海外の門下生が上海から、台北から、そして韓国から駆け付けました。教授の下から巣立って大阪で修行したあとに、上海で活躍するC氏とは七年の交流を経て知己となり、台湾出張の際に研修をともにしたZ女史とはC氏が共通の友人であることが分かり、それ以来上海や台北で三相交流が続いています。今回は初めての大阪での会合なので、ホスト役としては美々卯のうどんすき等の浪速風の候補を考えていました。ところがC氏から、ズバリ三者をつなぐ意味からして、九州・琉球料理の店にしましょうと即断してくれたので、梅田駅前で予約をしました。


当日、新阪急ホテルで待ち合わせた二人が、少し言いにくそうに、「実は昨日の宴のあと、とても喜ばれた芝池先生が海外からの参加者とだけ、もう一度席を囲みたいとのご意向でして・・・」とダブルブッキングへの断りの言葉。事情を察して「好事成双(良いことはダブル)ですよ。同じ店で席を連ねてはどうですか?」と応え、すぐに席の確保をせんと、店に電話したところ「承知しています。追加5名様ですよね。芝池様からご連絡をいただいています」とこれまたダブルの確認が取れて安心しました。
韓国へ当日に移動する弟子の空港バスの時間を事前に調べたり、料理屋の追加予約をされたり、手回しよく手配される教授に脱帽でした。「グローバリズムとは!」と大きな声を出すこともなく、さりげなく、細やかに、そして具体的・効果的に接していくことが人や国の関係の基本姿勢なのだと改めて感じ入りました。琉球料理と泡盛で和気藹々のなか、やはり上海から来られた先輩格のL氏は、芝池先生のことを魯迅の仙台時代の恩師である藤野先生に喩えていましたが、朱筆指導も偲ばれて然もありなんと納得しました。


その翌日、大阪本社に来てくれたC氏、Z女史そしてM氏の三人を、北船場の風情を今に残している「江戸菊」の二階部屋に案内しました。道すがら「開花宣言」とは何か?について日本滞在歴の長い三人も良く理解できていない、ということでうろ覚えの話をしました。各県ごとの気象台が桜の開花日を確定している。概ね各地の気象台近くに基準となる標本木があり、東京を除いて原則は秘密になっている。その標本木の基準の枝に5~6輪が咲いたら、その年の開花日とする。標本木以外の木や枝に沢山咲いていても開花とは認められない。(いくら千葉市内で雪が降っても、千葉県気象台のある銚子市に降雪がなければ「初雪宣言」はなされないとか)。
その説明に驚いた皆さんは「差不多呀!」と中国語で反応されました。厳密なルールに従って、基準通りに職員が数を数える、それを多くの報道関係者が取材して速報することに、どれだけの意味があるのか?大差ないではないか?ということなのでしょう。確かに気象学的にそのような厳密さが必要なのか分かりません。恒例の春の風物詩ですと言っても説得力が足りない気がしますし、第一に「風物詩」という日本語の捉え方も曖昧ですし、中国語辞書にある「季節性伝統」は堅い直訳だし、「風景詩」は誤訳だと思います。風景や習慣を通して感じる季節の情緒。その情緒がキーワードなのでしょう。


学生時代に読んだ『中国を知るために』(竹内 好:筑摩書房)にこれに通じる内容があったような気がして、本棚から正続二冊を取り出し探しました。しかし、次々に出てくる話題が面白く寄り道ばかりして、目的の文章は見つかりませんでした。以下は曖昧な記憶によるものです。
・・・秋の初めにたわわに実った柿も晩秋には数を減らしている。それを見て、中国人は「柿はもう無くなった」と感じ、日本人は「まだ数個ある」と言う。大まかにはほとんど無くなって、大勢としては「もう無い」と感じる中国人。全部無くなったわけではなく、厳密には何個か残っているのだから「まだ有る」と判断する日本人・・・


「江戸菊」個室での会話が弾みました。日本で青春時代を過ごした皆さん、たぶんそれは程度の差はあっても苦学の時代であったでしょう。そんな辛苦を克服した過去を忘れず、社会的な地位を獲得して度々来日する現在を充実させ、仕事を離れて大所から連携をめざす未来を志向しましょう、とお茶で乾杯しました。
桜がきれいに咲いた「江戸菊」の玄関で記念の写真を撮ってお別れしました。
大阪の開花宣言はそれから4日後でした。(了)


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