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神無月 【上海の街角で 井上邦久】vol24 (読む時間:約4分) 2016.10.20


今日、10月19日(水)は、陰暦9月19日。今年は9月、10月と続けて陽暦と陰暦がちょうど一か月ずれなので憶えやすくて助かります。昼間はまずまずの好天でしたが夕方から曇りがちになり、今宵一九夜の月の光は未だ見えません。
今日は魯迅(周樹人)の命日にあたります。1936年10月19日、55歳の一生を上海市虹口で終えています。主治医の須藤医師の診断内容は竹内好『魯迅』に詳しく記されています。また井上ひさし『シャンハイ・ムーン』でも臨終のシーンが描かれています。一言で言えば、国民党や左翼文学者との激しい諍いの過程で、魯迅の身体はボロボロの状態であったと思われます。
「今天晩上、很好的月光」で始まる『狂人日記』、自序に続く『狂人日記』に始まる14編の作品集『吶喊』には『故郷』や『阿Q正傳』も収められています。そして、『吶喊』に始まる小説と雑感文章により魯迅の存在感が高まったことに大方の評価は変わりません。
魯迅は日本と中国の関係が決定的に悪化する前に逝去し、中国共産党が政権樹立後に、魯迅を中国現代文学の旗手として高く評価したことにより、長く神格化されてきた印象があります。最近になって、身の丈通りの魯迅を伝えようとする著作や展示が目に入るようになりました。一例として藤井省三教授の著作で魯迅と許廣平の関係を「女子大教師と教え子との不倫関係の同棲」とする率直な表現に触れ、虹口からハイヤーを飛ばしハリウッド映画を観に行っていたという有名なエピソードも再確認しました。魯迅記念館の研究職には魯迅の妻、朱安についての『私も魯迅の遺物です』という著作があります。この数年で記念館の展示も大幅に変わりました。朱安夫人の写真も展示されています。一方では、共産党新政権の要職に就いた許廣平女史は、魯迅の母親と正妻への送金を続けたという記述もあります。そして、ある人から「魯迅が革命後も存命だったら?」との問いかけに、毛沢東は「相変わらず陰でぶつぶつ不満を漏らしているか、とっくに批判されて消えていることだろう」と応えたという話を聴いたことがあります。


あるベテラン教授から中国に関するテキストリーディングの指導を受けています。先週は、近代詩の先駆者の徐志摩の『你去』という詩を読みながら、中国語文法の基本を鮮やかに解明してもらいました。今週は、毛沢東の詩文、書のお話でした。その取りかかりとして、勤王の僧である月性の詩『将東遊題壁』を読みました。月性は西郷隆盛と入水自殺を遂げ、西郷は死に至らなかった。その友人の詩を西郷隆盛が大切にしていたことから、この詩が西郷作であると誤解した十七歳の毛沢東が同じような星雲の志を詩に残している、という繋がりでした。
        男児立志出郷関   学若無成不復還
        埋骨何期墳墓地   人間到処有青山
人間(じんかん)到る処に青山(墓所)あり、という七言は良く耳にします。
10月19日に毛沢東に関する指導を受け、しかも月性の詩を導入部として読んだことは、偶然とは言え、今日を命日とする魯迅に思いを馳せ、併せて本日を誕生日とする我が身の来し方を振り返る縁(よすが)になりました。


本編も含めて、1930年代の上海を中心としたテーマで拙文を綴り、毎月不特定の読者の皆様にご笑覧願って足かけ3年になります。それ以前から「上海たより」「北京たより」そして「中国たより」と拠点の名を付した極めて個人的な発信を、毎月特定の方々宛てにお届けしています。二つの文章発信の場と姿勢が違うので、内容を極力重複させないように努めているつもりです。ただ、この神無月10月はその戒めを破って「中国たより『青島会』」と題する拙文との共用を以下の通りさせて頂きます。


この夏、加藤陽子さんの『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(2010年)が新潮文庫に入り、続いて同じ八月に『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』が出版されて、ともに刷数を増やしているようです。
日清・日露そして第一次大戦が流れとして繋がっていること、そして山東半島や青島がその繋ぎ目として重要な土地であることが改めて解明されています。
二冊の本は、中高生に授業形式で話を進めるスタイルが共通しています。優秀な中高生が鋭い指摘や回答をしていることも共通しています。後書きで加藤さんは、中高生とともに中高年にもどうぞ、とお誘いをしています。
「近代史、現代史を授業では習っていないからなあ・・・」という言葉をしばしば耳にします。何故、授業で教えないか?本当に教えていないのか?についてはよく分かりません。ただ、仮に授業での印象が少なくても、知る・学ぶ方法は色々あることを加藤さんは示しています。


10月19日の夜も更け、高い空で月が光っています。(了)


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