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清明穀雨 【上海の街角で 井上邦久】vol30 (読む時間:約3分半) 2017.04.18

国家統計局都市司の縄国慶高級統計師は、2月の消費者物価が前期比で0.2%下落した特徴として、1)2月の全国平均気温が例年に比べて明らかに高く、生鮮野菜の生長に有利となり、市場供給が充足した、2)春節後の需要が弱まり、卵・豚肉・鶏肉価格が下落した、3)春節後の外出・観光人数が減少し、航空券代・旅行社手数料・旅館宿泊代が下落した、点を挙げている。


日中産学官交流機構第19回中国塾での田中修塾頭による定例経済報告からの抜粋です。暖かい2月、その後の寒い3月を経て清明節の頃からは徐々に天候も安定してきました。二十四節季の清明から穀雨(太陽が黄経30°に達した時とされ、日本中国とも今年は4月20日。昨年の中国では4月19日23時29分だった由)の間は仲春から晩春の季節で、農耕作業が繁忙化するころであります。日本の中国地方の山間に住む母親からも苗代作りのたよりが届きました。気が付けば、一年のほぼ三分の一が経過し、日本では新年度が始まり桜の開花とも相まって、新規の気分が満ちて来ます。


端午節、七夕節が日本に伝来して色々な変容をしながらも定着していることに比べ、清明節に必須の墓参りの習慣は日本には縁が薄く、沖縄や中華街以外では寡聞にして知りません。


 清明時節雨紛紛
 路上行人欲断魂
 借問酒家何処有
 牧童遥指杏花村    杜 牧『清明』


上海では、清明節に墓参りとともに草餅を食べる習慣も盛んで、福州路などの老舗の「青団」はこの時期の売れ筋です。花より団子、団子より杏花村でお酒をもとめたい向きの言い訳には、杜牧の詩が便利で、『清明』はこの時期に、人口に膾炙されます。
清明節前後には、上海のスタッフ達に「掃墓(sao 3mu4、墓参り)は何処へ?」と訊ねました。上海旧市内と応える人はほとんど居らず、昆山です、とか黄山ですとかの返事が多かったです。シティボーイやガール達も、多くは何代前かに上海へ移住してきた人たちの子孫であり、先祖の墓は上海以外の各地に所在しています。そしてスタッフ達もこの時期だけは先祖を敬い、自らのルーツを意識するようでした。
いささか自己満足のきらいはありますが、各地のスタッフ達との交わりのなかで、「你好+1」を心がけていました。「こんにちは」の挨拶だけで終わらせず「+1」の個別の話題を作るようにしていました。色んな話題の中で、快く反応があり印象に残ったのは「子供」と「先祖の出身地」についてでした。


清明節に里帰りした畏友のC弁護士からお土産に二枚の写真を頂きました。壁に墨書された族規(一族の規則)十項目と家訓十項目の写真には、目指すべき姿勢と避けるべき戒めが並んでいました。一見すると「言うは易く」、実際は「行うは難い」この教えを墨守しているであろうC家一族からは、虎も蠅も出ていないと想像しています。Cさんは久しぶりの故郷で、祖先と「会話」し、一族の規則や家訓をあらためて「勉強」してきたとのことです。
宮本常一の名著『家郷の訓』を持ち出すまでもなく、日本にも家訓やそれに類するものがありましたし、今でも残っているでしょう。二昔前までの日本のオフィスには、しばしば金融関連商品のセールスの電話が掛かってきました。丁重にお断りする時に「我が家には家訓があって、株も不動産投資もできません」と云うと、若い声で「カクン?」という反応があり、自らの言葉が時代錯誤的な印象を与えていることを感じた記憶があります。そんな時代を経て、今の我々に大切なことは家訓の有無ではなく、Cさんのように祖先と「会話」し、一族の訓えを「勉強」して自らを省みる姿勢なのでしょう。


清明(きよあき)という名前の伯父(母の兄)は昭和4年生まれ。従弟に電話で4月14日が誕生日であることを再確認して、名前の由来を得心しました。大正モダンボーイ、慶応ボーイの祖父稲次郎が、節季に因んでオーソドックスに命名したことを微笑ましく感じます。そして杜牧の詩を知っていたかどうかは別にして、祖父も伯父も酒が好きであり、強かったことを思い出しました。


(了)


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