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ボストンの老陳 【上海の街角で 井上邦久】vol34 (読む時間:約3分半) 2017.08.24

この時期の俳句の季語に「今朝の秋」があります。立秋の朝のことを表すようです。立秋が過ぎても朝から暑いと実感が湧かない季語だと思います。昨今の中国には、虎が居なくなったと思っていたのに、「秋老虎(立秋後の残暑)」は依然として吠え続けている模様。できれば秋の虎も捕まえて欲しいものです。


7月下旬から滞在中のボストンは、ほぼ青天が続きます。気温が30℃近くでも木陰の芝生では、涼しい風が吹き凌ぎやすく快適です。緑豊かなハーバード大学のキャンパスでは栗鼠まで賢そうだった、とは四半世紀前に訪れた先輩の言です。ところが、個人的な印象では、ハーバート大学の栗鼠は賢く見えるだけでなく中国語を話しそうだと言いたくなります。キャンパスには中国からの留学生だけでなく、視察団や観光客が続々と詰めかけており、中国語に接するには良い環境です。


ハーバード大学に行かなくても、中華街まで出向かなくても街中で頻繁に中国語を耳にします。とりわけ、今回滞在している地域では、とても多くの中国系の人と会い、中国語を使う毎日が続いています。


         ボストン中心部から電車で西へ15分ばかり進むとKenmore駅。路面電車の分岐点でもあり、Boston Red Soxの本拠地であるFenway球場最寄りの駅でもあります。そこから西に広がるBrookline市は交通、治安、教育施設などに恵まれており、隣接するLongwood Medical Areaでの研究や仕事に通うのに便利なせいか、従来から外国人が集まる地域だったようです。


この地域の小学校、スーパーマーケットなどで60歳半ばの中国人を多く見ます。その中の一組の陳氏夫妻と顔なじみになり、或る日、陳氏から部屋に寄って行けと誘われました。山東省の出身で息子夫婦が優秀であり、ボストンに留学、孫のケアと家事目的で老陳夫妻がボストンに呼ばれて2年になるそうです。住環境が良い分だけ家賃が高い、若夫婦は多忙だがベビーシッターを雇う習慣も資金もない、という話から愚痴とも諦めともつかない話の流れになりました。奥さんは孫を学校に送ってから、スーパーマーケットで「市場考察」と小さな買い物をしながら知り合いを増やしている。老陳さんは日がな一日、読書と昼寝と調理で過ごし街にはあまり出ない、とのこと。山東の故郷の話題や「人到中年、男は辛いよ」の吐露、孫が優秀なのに9月生まれなので小学校進級が来年になる不満などの話し相手を務めました。言葉の端々に「来たくて来たのではない」感が滲んでいました。従来からの華僑・華人の概念や規定は見直す時期に来ていることは明らかですが、老陳のような中国人はどんなカテゴリーに入るのかな、孫に手が掛からなくなれば帰郷するのかな、引き篭もりの異郷での余生は退屈だろう等の余計なお世話を頭の中で考えていたら、奥さんがマーケットでの小さな買い物を提げて戻って来ました。


「あらあら、なんで白開水(白湯)しか出さずにどうしたの、お茶を淹れますからゆっくり話していきなさい」と言ってくれましたが、初めてのお宅でお茶を頂くのは野暮なので「また次回に」と辞去しました。


米中政府の政治的駆け引きのカードの一つに中国人留学生の米国への出国制限策が知られています。米国政府が政治的経済的な圧力を掛けてくると、米国の大学経営を支えているのは中国であることを知っている中国政府は揺さぶりを掛けてきます。国費留学が圧倒的だった前世紀とは異なり、私費留学を希望する若者の「対策」は?


老陳のような1950年前後生まれの人たちは、留学はおろか大学受験への門も閉ざされた世代であり、余生を優秀な次世代、次々世代の為に捧げながら異郷に暮らしているようです。そんな人たちは、昨今の米中摩擦をどのように眺めていることでしょうか。


最後に中国語がまったく聞こえてこない場所が少なくとも一つある事を伝えます。それはFenway野球場でして、まさに「アメリカ」の空間と時間が流れます。毎年8月15日は甲子園球場での黙祷に参加してきましたが、今年はSt. Louis Cardinalsとの一戦の外野席で米国国歌を聴き、野球ファンに馴染みの『ボールパークへ連れてって』の合唱、そして8回攻撃前には『Sweet Caroline』を全員で腕を振って大声で歌いあげます。父親のJFKを喪ったCaroline Kennedy(前駐日大使)をイメージして、1969年に発売され大ヒットした曲です。JFKがちょうど100年前に生まれた家は、Brookline市に記念館として開放されており、散歩がてらに訪れました。周りの家と同じような造りのごく普通のたたずまいでした。


(了)


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