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2016.04.24
  • 大脳的な豊かさから、自然に回帰する新たな豊かさへ
  • 株式会社セラリカNODA 代表取締役社長
  • 野田泰三
セラリカNODAは1832年、江戸時代に始まり、100年経営の会の中心メンバーの一社として今年創業184年目を迎える老舗企業だ。主要製品は「セラリカ(CERA RICA)=生命ロウ」とも呼ばれるが、これはどちらも同社社長野田氏自身による命名である。長寿企業を経営する野田氏が自分の足で世界をまわり得た新たな考え方、豊かさへの提言を教えていただいた。
  • 株式会社セラリカNODA
  • 住所 / 神奈川県愛甲郡愛川町中津7202
  • TEL / (046)285-1265   FAX / (046)286-2800
  • URL / www.ceraricanoda.com

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■ 「セラリカ」とは何か


「セラリカ」を簡単に説明すれば「蝋」となる。蝋は原料が2種類があり、現在広く用いられているのは石油や石炭から造られている鉱物系の蝋や合成蝋である。それに対し、セラリカNODAのもう一種類の「蝋」は、木や昆虫、動物などが生み出す自然界の恵みから作られている。この自然資源を用いた蝋は、古くはエジプトのミイラの保存用に、わかりやすいところでは相撲取りの髷を固める鬢付け油などに用いられてきた。セラリカNODAは江戸時代から櫨(ハゼ)の木の実から木蝋を作ってきた会社である。木蝋は戦前における日本の代表的輸出品目で、「Japan Wax」と呼ばれる日本を代表する天然資源であった。その名残として会社には元総理大臣の机が展示されている。

 
野田氏は石油系や鉱物系の蝋との差別化を図るために、動植物を原料とする生命蝋に「セラリカ」という言葉を創造した。「セラリカ」はスペイン語で、蝋を示す「セラ(CERA)」と、豊かなという意味を示す「リカ(RICA)」を組み合わせた生命蝋の愛称である。

 
■ 豊かさの3つの段階と新しい2つの豊かさの提案

 
野田氏が家業を継いだのは1988年のことだ。1975年、大学時代に父を亡くし、その後は経営には素人の母が家業を継いでい た。野田氏は母から家業を引き継いだことになる。

 

野田氏が事業を継承した頃、JETRO(日本貿易振興機構)が世界中から日本に一番輸入して欲しい品目をアンケート調査していた。その中にセラリカNODAの本業である「動植物蝋」が含まれていた。そこで野田氏は世界中の動植物蝋を自分の足を使って視察することを決断する。世界中を回ったことは原料会社との関係づくりにも益があったが、生産国地域の貧困を目にしたことは野田氏自身の思想にも大きく影響を与えることとなった。それが「新しい豊かさ」に関する考え方だ。

 

「日本宇宙開発の父」と呼ばれる糸川英夫博士には、豊かさに関する深い考察の書物がある。それが地球上の豊かさを発展段階順に「3つの部屋」に分けるという考え方だ。1つ目の部屋は衣食住が揃い生存を支えることができることを豊かさに感じる部屋、2つ目の部屋は、なくても生きてはいけるがあると楽しい物、自動車やステレオなどの贅沢品の所有に豊かさを感じる部屋となる。そして3つ目が先進国の現段階での豊かさで、大脳の快楽中枢を刺激することを豊かさと感じる部屋、例えばゲームや麻薬、ギャンブルやA.Vなどによる大脳に刺激を求める部屋である。ここにはコンピューターや人工知能などの操作により、現実の生活には縁のない巨大な数字を操作することで利益を上げる現代的な金融業も含まれる。

 

第1,第2段階ではものづくりに創造性を発揮して試行錯誤するのだが、第3段階では頭を使って己の欲を全開にして情報を無限に利用するというやり方が横行し、うまく利用できる人と利用できずに底辺に甘んじる人の2極化が進むという面もあるという。

 

野田氏はこの3つ目の抜け出しがたい豊かさから全力で脱却し、次の新たな豊かさへ勇気を持って向かうことを提案している。3つ目の豊かさの上位段階として野田氏が提唱するのは、まず相手の喜びを自分の喜びとする利他的な豊かさを体現できる世界だ。例えば貧困地域に新たな生物産業(例:昆虫産業)をもたらし、そこに住む人の笑顔を喜び、自分もまた心と物質の両面で幸せを感じることができるといった状況を指す。

 

利他思想により人と人の調和が可能となった時、次に現れるのが第5段階の「自然との調和」だ。

 
■ 東アジアから利他思想と自然との調和を発信する

  
今、世界は混沌としており、ひとつの壁にぶち当たっていると野田氏は考えている。第3段階の豊かさの拡大により世界中に矛盾が頻発して起きているのだ。第3段階では経済成長がスムーズに行われているときは良いのだが、最近のようにその成長がひとたびマイナスに転じれば、あちらこちらから問題が噴出してくる。植民地時代から続くヨーロッパにおけるアジアやアフリカを踏み台とした豊かさの拡大の時代はもうすでに終わっており、これからそれを無理に拡大しようとすれば、その結果は世界戦争しかありえないだろうと野田氏は予測している。

 

こうした時代に日本と中国の心ある人が協力して発信できるのが、第4段階の豊かさの基本である利他思想だと野田氏は考える。野田氏は幼い頃から仏教に親しみ、その利他思想を体感してきた。野田氏が親しんだ日本の仏教は、もともと中国で生まれた大乗仏教である。これに小さな虫も友人とし、小さな石にも手を合わせる日本的なアミニズムを統合することで自然との調和も図れる。東アジアから世界にこの思想を現代の問題解決のコンセプトとして発信することができるのではないか、というのが野田氏の提案だ。野田氏はこれまでに中国へ100回以上も足を運び、たくさんの人とも出逢い、この話をしてきたが、全面的に共感してくれる人がほとんどであった。そこ利他思想を持つ日中の仏教徒が先頭に立ち、共に手を取り合って世界にこの考えを発信していきたいという気持ちを固めてきた。

 

■ 第三の豊かさには限界がある

  
利他思想というのは相手の喜びが自らの喜びであるという考え方であり、日本では空気のように受け入れやすい考え方でもあると野田氏は語る。利他思想は一方でお人好しの考え方であり、もちろん騙されたりすることもある。野田氏自身にもそうした辛い経験はある。中国投資問題による会社の経営危機も乗り越えたが、毎月一度の度重なる中国訪問では大気汚染PM2.5により末期の肺ガンとなったこともあった。だがそれも奇跡的に克服してきた。それでも利他思想を遵守する「セラリカNODA」は180年以上存続しているし、利他思想が当たり前になっているという日本も世界で最も成功した国の一つである。
第3段階の豊かさは一見限界なく発達していくようにも見えるが、その根本がエゴの極大化にあるので、富の一局集中や環境問題、資源の枯渇、無視、無神経、無関心による人間関係の破壊といった様々な問題も孕んでいる。エコブームの中で天然、自然を求めながら農林業が衰退し、無農薬の安全な農産物を求めながら、家中に殺虫剤をまき、クリーンを求めて虫を殺すことを当たり前としている。これらは田舎(自然)と都市、心と大脳の分断から起きる現代的な問題だ。地球は無限ではなく有限であり、有限のものを大切に活かしてこそ「持続可能な社会」が生まれる。

  
■ 「モノ」を好きになること

 
「セラリカコーティング」はシックハウス病の原因でもあるホルムアルデヒトが製品から「不検出」という、食品原料だけで作った今までで例がない、安全な住宅用ワックスである。その原料となっている生命ロウ=セラリカは「熱に敏感に反応し、早く溶けて早く固まるシャープな性質」という優れた性能をもっており、食品や化粧品、キャンドル、艶出し剤、潤滑剤など様々な用途に用いられている長い歴史がある伝統的なものでもあるが、一方で情報記録材というハイテク分野でも優れた機能性が利用されるものでもある。

 

「セラリカNODA」はもともと「野田ワックス」という社名であったが、1995年に現在の名称へと社名変更した。企業の継続、発展のために絶えず革新を行っているのだが、その方法について野田氏は「根本は自らの製品に愛情を持ち、好きになること」であると語る。「モノはモノであってもイキモノなので、単なるモノで終わらせない」、セラリカNODAは自然の生み出す「イキモノ」の豊かさや、深さに寄り添い、その可能性を活かすことを最大のテーマとしている。

 

時代は常に動いている。だがこれと決めた好きなものを見つければ、先祖代々の自分のやっていることの本質や事業の未来に向けた意味に気付いていく。好きになることで、隠れた機能や長所に気付くようになり、また苦労を乗り越えるための力も発揮することが出来る。「好き」という言葉は現代では安っぽく聞こえるかもしれないが、とても大事なことであると野田氏は考えている。

 
■ 自然も、仕事も天から与えられる

 
「合成化学やITなど、自然を使わずになんでも大脳の力を過信して出来ると思ってはいけない」と野田氏は警鐘を鳴らす。自然界から乖離した合成化学やITなどは無限の利益を生み出しているように思えるかもしれないが環境問題や子供の人間教育問題等、大きな不利益も生み出している。自然とは結局は有限なものであり、その原理から逸脱しているように見えるものは、いつかは限界がやってくる。だから自然と調和する道を選ばねばならないのだ。自然とはたくさんの生物が支えあって生きているものであり、人間もその一員である。限りあるものを調和させていかねばらない。

 

無論、合成物のほうが思い通りに簡単に作れるかも知れないし、天然物を扱うことは思い通りにならずに難しく、急に大きな利益を上げることができないかもしれない。だが愛情を持って自然を見つめ続ければ、そこに調和した発見がある。天から与えられるものを理解し、受け止めていけば、時代に応じて必要な物を自然に生み出していくことが出来るというのが野田氏の中にあるイメージだ。イキモノも、そして仕事も天が与えてくれたものだということを、今の中国企業に強く伝えたいと野田氏は語る。

 
■ 社是に見るこれからの経営

 
偉い人に会っても、どんな人に会っても野田氏は人によって話の内容を変えることはなく、利他で生き、自然と調和した人間になれということを伝え続けている。自らの為に人を選ぶのではなく、人を育てたいという思いが野田氏にはある。明治政府初期を支えた偉人を幾人も輩出した吉田松陰の松下村塾も、人を選んで教えたのではなく、学ぶ意欲の強い近所の若者に教えを広めていったに過ぎない。会社においても自分の足元にいる社員を分け隔てなく愛情を持ってしっかりと育てることが大切だ。

 

では後継者にはどんな教育をしているのかということをうかがうと、野田氏は「事業継承はどんな困難にあってもできるまでやり続ける自分の姿を見せることでしか伝わらない」と語る。後継者が見ている時も、見ていない時も、自分があるべき姿を後ろ姿で示し続けなければならない。

 

セラリカNODAの社是は「異体同心、自行化他、利他為本」、先々代の野田氏の父が作ったものだ。噛み砕くと、一人一人の別の人間が心をひとつにして、同じ目的を持って仕事に取り組むこと(異体同心)、日々の自らの行いによって、大切なことを伝え周りを変えていくこと(自行化他)、関わる全ての人達と社会が幸せになるような仕事をすること(利他為本)となる。20世紀は優れたカリスマが一人で引っ張っていくというリーダーシップの時代だった。だが今は大変革期に入り、人も考え方も混じり合い、多様なものが価値として求められる時代であり、それを受け止め活かす柔軟なチーム体制が必要となる。「異体同心」こそは未来を目指すチームの心を表しているのではないかと野田氏は考えている。

 

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